人工鼻とは
人の通常呼吸は、鼻腔や咽頭などを通過することで空気を保湿・保温する機能を有しています。
しかし、気管切開チューブなどの人工気道を介して呼吸を行う患者では、鼻腔や咽頭をバイバスしてしまうため、乾燥したガスが気道を通ることになります。
人工鼻は、鼻腔や咽頭などの機能を代行するデバイスであり、呼気中の熱と水分を捕捉し、吸気時に乾燥しているガスを加湿・加温させます。
参照:1)石井一成.人工鼻フィルタ:加温・加湿のしくみ.人工呼吸.21(1),2004,1-7.
気管切開患者用人工鼻
気管切開用の人工鼻には、様々な種類があります。
大人用、小児用、赤ちゃん用といったサイズ展開に加えて、人工鼻経由で酸素投与が可能な酸素ポート付の製品や、気管内吸引時に人工鼻を取り外すことなく使用できる吸引ポート付の製品など、用途や使用環境に応じた多様なタイプが揃っています。
製品ページはこちら:気管切開患者用人工鼻
使用上の注意
人工鼻以外の加湿方法としましては、人工呼吸器とネブライザ-、トラキマスクがありますが、人工呼吸器とネブライザ-、トラキマスクとの併用は禁忌となっています。
理由としては、人工鼻に患者の呼気を補足する加湿エレメントに過剰な水分を捕捉してしまい目詰まりを起こす恐れがあります。
人工鼻で加湿不足と判断しましたら、人工鼻を外してネブライザ-、トラキマスク、人工呼吸器を使用してください。
(下記の画像は、加温加湿器と回路用人工鼻との併用禁忌ではありますが、同様の事例が起きる恐れがあります)
参照:医薬品医療機器総合機構 PMDA 医療安全情報 No.7 2009年1月
https://www.pmda.go.jp/files/000143605.pdf