

◆瘻孔(ろうこう、英: fistula)とは「体内の臓器間」や「臓器と体外」との間に生じる異常な管状の通路のことです。広義には炎症などによって組織に空いた孔のことで、「体内と対外」、あるいは「皮膚と腹腔内」を繋ぐ通路(トンネル)です。そのトンネルの主となる材料は炎症反応に伴う創傷治癒過程により発生する「かさぶた(線維化組織)」です。
瘻孔の具体例としては胃瘻、痔瘻、動静脈瘻、臍瘻(さいろう)、歯周膿瘍 、耳瘻孔(じろうこう)など様々あります。
手術後に留置するドレーンも生体にとっては当然に異物ですから、いくらその素材の生体親和性が高いといってもドレーンの周囲で異物(炎症)反応が起こり、創傷治癒過程でかさぶたが発生します。つまり、ドレーンの周囲を包み込むようにドレーンの形をした管状のかさぶたができるわけです。これがいわゆる「瘻孔」です。この場合、ドレーンを抜去するとドレーンと同じ形状のトンネルが皮膚と腹腔内間に完成することになります。このとき、もしドレーンが事故(自己)抜去されたとしても、瘻孔があればそのトンネルに沿って新しいドレーンを挿入することできます。つまり瘻孔ができていればドレーンの入れ替えが非常に簡単になるということになります。一見、瘻孔は疾患名や病名のように悪いイメージが先行しますが、ことドレーン留置に伴い発生する瘻孔に限っては、あながち悪いことばかりはとは言いきれないのです。
◆どれくらいの時間でできるか?
瘻孔ができるまでにかかる時間は、はっきりした定見はありません。ドレーンの材質による炎症の度合い(塩ビ>シリコーン)、患者さんの体質や体力などによっても左右されるといわれています。現在、一般に使用されているシリコーン製のドレーンの場合、経験的に1週間前後でほぼ完成すると考えられています。そうすると、開心術後ドレーンにシリコーン製のドレーンを使用した場合、、その多くは術後3~4日目に抜去されるので、抜去時点での瘻孔はできていないということになります。また、一旦できた瘻孔がどれくらいの期間で治癒(閉鎖)するのかもわかっていません。
●腹腔鏡下胆嚢摘出術、術翌日ウィンスロー孔に留置したシリコーンドレーンの抜去
(※患者、ドクターは関係者)【写真は瘻孔ができていない状態】
出典:「ドレーンは語る」メディカ出版2016年 夏目誠治先生
