遠心ポンプとは
遠心ポンプは、体外循環回路において血液を送り出すために使用される医療用ポンプです。主に ECMO(extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺) や 人工心肺装置 などの補助循環療法および体外循環療法で使用され、患者さんの循環や呼吸を補助する重要な役割を担います。遠心ポンプは、ポンプ内部でインペラの回転によって血液にエネルギーを与え、圧力差(揚程)を作り、その圧力差によって流量が生じる構造を持っています。ローラーポンプとは異なる原理で血液を送るため、体外循環装置におけるポンプ選択の重要な選択肢となっています。
医療機器としての区分(機能区分)
日本の医療制度では、遠心ポンプは特定保険医療材料として扱われ、構造や機能の違いによっていくつかの機能区分に分類されています。
シール型(抗血栓性あり)
シール型遠心血液ポンプは、モータの回転力を回転軸(シャフト)を介してインペラへ伝達する構造を有しています。このため、回転軸がポンプ内部と外部の境界部を貫通する部分には、血液の漏出や外部からの液体侵入を防ぐためのシール機構が必要となります。また、血液接触面にはヘパリンやPMEA(生体親和性材料)などの抗血栓性コーティングが施されており、血栓形成の抑制を目的としています。

シール型(抗血栓性なし)
ポンプの構造は「シール型(抗血栓性あり)」と同様で、抗血栓コーティングが施されていない、または薬事承認事項として抗血栓性が明記されていないタイプのポンプです。
シールレス型
シールレス型遠心血液ポンプは、血液領域へ回転軸を貫通させない、あるいは軸シール部を不要にする構造を採ります。代表的には、磁気カップリング、モノピボット、ピボットレス、磁気浮上、流体軸受などを用いてインペラを支持・駆動し、従来の軸貫通部に必要だったシールをなくす方向で設計されます。

遠心ポンプの特徴(ローラーポンプとの違い)
体外循環では、遠心ポンプのほかにローラーポンプも広く使用されています。
ローラーポンプはチューブをローラーで圧迫することで血液を送り出す方式ですが、遠心ポンプは遠心力によって血液を循環させる仕組みを持ちます。遠心ポンプには次のような特徴があります。
✓ 回路閉塞時に過度な圧力が発生しにくい
✓ 血液への機械的負荷が比較的少ない
✓ 小型化が可能で体外循環装置への組み込みが容易
一方で、ポンプが停止すると血液の逆流が起こる可能性があるため、回路設計や遮断機構などの対応が必要になる場合があります。
参照:心臓血管手術に使われる人工心肺装置の役割とは?(ポンプ編)
まとめ
遠心ポンプは、ECMOや人工心肺などの体外循環療法を支える重要な医療機器です。
構造や機構などの設計には様々なバリエーションがあり、それぞれの特徴を活かしたポンプが開発されています。今後も、体外循環技術の進歩とともに、遠心ポンプの性能や安全性の向上に向けた研究開発が進められることが期待されています。
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