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活躍の場を広げるHFNC

administrator 2024.04.12 2024.04.12

HFNCとは??

HFNC(ハイフローネーザルカニュラ)は鼻腔内に高流量のO₂とAIRが混ざり合った混合ガスを投与することで、一般的に臨床現場などで広く知られているデバイスです。経鼻用酸素カニュラと同じく経鼻投与なので、使用する患者からしてもストレスはさほどなく、NPPV(非侵襲的陽圧換気)よりも忍容性が高いデバイスであると言われています。

 

経鼻用酸素カニュラと形状も似ているので、よく比較されるデバイスではあるのですが、経鼻用酸素カニュラは1~4L/分の純酸素(FIO₂:1.0)を吸入させるのに対し、HFNCは40~60L/分の酸素濃度調整(FIO₂:0.21~1.0)が可能です。幅広いトータルフロー調整と酸素濃度調整ができるデバイスである一方、高流量の混合ガスを経鼻的に投与するため、使用する際には加温加湿が必須となります。

 

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HFNCの適応

HFNCが活用されるのは、主に重症呼吸不全で酸素投与が必要な患者にICUなどで使用されるデバイスです。高流量の酸素投与で酸素化の悪い患者へ使用します。高流量の混合ガスを経鼻的に投与することで、酸素投与だけでなくPEEP効果を得られることでも知られています。また、高流量で混合ガスを流すので、気管内や肺胞内のCO₂を速やかにウォッシュアウトすることができ、ガス交換に寄与する肺胞内への酸素運搬を容易にする効果もあります。

 

挿管前のpre-OxigenationとしてのHFNC

呼吸不全患者などの酸素投与方法として知られているHFNCですが、近年では新たな有用性が伝えられております。それが挿管前のPre Oxigenation(前酸素化)でHFNCを使用するというものです。
一般的に手術前に麻酔を導入する際には、酸素マスクを通して患者に麻酔薬を嗅がせて鎮静させる手段をとります。その後麻酔が効いて挿管する際には、一度マスクを外して喉頭展開をして挿管といった流れとなりますが、マスクを外している際は酸素が患者に投与されていないことになります。その結果挿管時の低酸素血症を助長することとなり、患者の生命に危険を及ぼしかねないこととなります。

 

そこでHFNCを使用した前酸素化が注目を集めており、挿管中も経鼻的に高流量の混合ガスを投与させながら挿管することが可能で、麻酔が効いて無呼吸状態となった患者への酸素化(=無呼吸酸素化)を図ることが可能となるので、患者の低酸素血症を予防するべく新たに提案された手技です。これをTHRIVE(経鼻加湿急速送気換気交換)と呼ばれ注目されております。THRIVEは無呼吸酸素化を補助するだけではなく、もともと呼吸状態が悪い患者や、difficult airwayによる挿管困難例の患者にも活用することができます。

 

 

THRIVE実施の際に推奨されている混合ガスの酸素濃度および流量は、FIO₂ 1.0、流量 70L/minとされており、高流量の純酸素を挿管手技の短時間に投与することで急速に酸素化を図ります。ICUなどでHFNCを使用する際の設定とはかなり異なる設定となるので、使用の際には注意が必要ですね。

 

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まとめ

ICU・HCUなどクリティカル領域などではHFNCは広く知られており、酸素化のみならず高流量によるCO₂ウォッシュアウトも可能なデバイスとして活用されておりますが、近年ではTHRIVEのように術前挿管時にHFNCを使用することの有用性が示されてきております。既存のデバイスで新たな治療法やエビデンスが提唱されてきており、今後のHFNCの適応の広がりに注目していきましょう!それではまた!

 

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