はじめに
バイポーラピンセットは、外科手術において止血や凝固を行うための重要な器具です。その性能や使いやすさは、先端の細さや形状(ストレート型・バイオネット型)によって大きく異なります。これらの違いを理解することは、適切な器具選択と安全な手術操作に直結します。本記事では、先端サイズと形状の特徴、メリット・デメリットについて解説します。
バイポーラピンセットの分類
先端の細さによる違い
バイポーラピンセットの先端の細さは、手術の精度や適応症例に大きく影響します。細い先端は微細な血管や神経周囲での精密操作に適しており、顕微鏡下手術や狭い術野で有効です。一方、太い先端は強度と安定性に優れ、広範囲の止血や一般外科手術での使用に向いています。つまり、先端が細いほど繊細な操作に、太いほど安定した止血に適しており、症例に応じた選択が重要です。
| メリット | デメリット | |
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先端0.5mm未満 |
・微細な血管や神経周囲で精密操作が可能 ・視野を妨げず顕微鏡下手術に最適 |
・熱集中による組織損傷リスク |
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先端0.5mm以上 |
・強度が高く安定した操作 ・熱分散性があり組織損傷リスクが低い ・幅広い症例に対応 |
・深部や狭小部位では視野を遮りやすい ・精密操作には不向き |
形状による違い
バイポーラピンセットの形状は、手術の視野確保や操作性に大きな影響を与えます。ストレート型は先端とハンドルが一直線で、力の伝達がダイレクトなため浅い術野で扱いやすく、開放手術に適しています。一方、バイオネット型は先端が視線の延長線上に配置されており、深部や顕微鏡下で視野を確保しやすいです。症例に応じて形状を選択することで、操作の精度と安全性を高めることが可能です。
| メリット | デメリット | |
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ストレート型 |
・操作が簡単で力の伝達がダイレクト ・構造がシンプルで強度が高い |
・深部では手や器具が視野を遮りやすい |
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バイオネット型 |
・深部や顕微鏡下で視野確保が容易 | ・構造が複雑でやや重い ・力の伝達が間接的で慣れが必要 |
まとめ
バイポーラピンセットの選択は、術野の深さや止血対象に応じて慎重に行う必要があります。それぞれの特徴を理解し、症例に応じた適切な器具を選択することが、安全で効率的な手術を行う上で重要となります。

