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筋弛緩モニタリングの2つの方式
手術中の筋弛緩状態を正確に把握することは、術後の残存筋弛緩を防ぎ、患者様の安全を確保するために必要不可欠です。現在、臨床現場で主に用いられている筋弛緩モニタリングには、加速度モニター(AMG)と筋電図モニター(EMG)の2つの方式があります。
それぞれの特性を見ていきましょう。
加速度モニター(AMG:Acceleromyography)
【筋肉の物理的な動き】を測定する方式
●測定原理
末梢神経(主に尺骨神経)を電気刺激し、親指などの筋肉が収縮した時の加速度をセンサーで検出します。
●メリット
・使いやすさ:長年にわたり臨床現場で使用されてきた方式のため、多くの医療従事者がその使用感に慣れており、臨床現場に浸透しています。
・コスト:EMGと比較して消耗品が安価であり、ランニングコストが抑えられる傾向にあります。
●デメリット
・手の固定が必要:指が自由に動けるスペースが必要であり、手術中に手をしまい動きが阻害される術式では、正確な測定が困難な場合があります。
筋電図モニター(EMG:Electromyography)
【筋肉の電気的な反応】を測定する方式
●測定原理
末梢神経を電気刺激し、筋収縮時に発生する誘発活動電位を電極で捉えます。筋肉の動きそのものではなく、電気的な応答を直接捉える点が特徴です。
●メリット
・高い信頼性:筋肉の物理的な動きに依存しないため、手を固定していても測定が可能です。
・高精度の測定:筋肉の動きではなく電気信号を追うため、初期値の不安定さが少なく、麻酔導入直後から精度の高いデータが得られます。
●デメリット
・ノイズの影響:電気メスなどの電気的干渉(ノイズ)を受ける場合があります。
加速度(AMG)と筋電図(EMG)の比較表
| 加速度(AMG) | 筋電図(EMG) | |||
| 測定対象 | 筋収縮の「動き」 | 筋収縮に伴う「活動電位」 | ||
| 精度 | 標準的 | 高精度 | ||
| コスト | 抑えられる傾向 | 高くなる傾向 | ||
| 手の固定 | 精度に影響が出る場合がある | 固定していても影響を受けない | ||
まとめ
加速度(AMG)と筋電図(EMG)にはそれぞれ特有のメリット・デメリットがあり、症例に応じた使い分けが推奨されます。例えば、高精度な筋電図(EMG)に対し、加速度(AMG)は顔面の皺眉筋(しゅうびきん)でも測定可能という柔軟な特徴を持っています。
デバイスごとの特性を理解し、患者背景や術式に合わせて最適なモニタリングを選択することが、患者様の安全を守る上で極めて重要です。
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