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手術中の血液を再利用する「回収式自己血輸血」とは?仕組み・メリット・適応をわかりやすく解説
手術を受ける際、多くの患者様やご家族が不安に感じるのが「出血」と「輸血」です。
一般的な輸血は、献血された血液を使用する「同種血輸血」ですが、その他にも患者様ご自身の血液を利用する「自己血輸血」という方法があります。
自己血輸血は、使用するタイミングや方法によって次の3種類に分類されます。
- 貯血式自己血輸血:手術前にあらかじめ採血・保存した血液を輸血する方法
- 希釈式自己血輸血:手術開始時に患者様の血液を採取し、その間は輸液で循環血液を維持し、採取した血液を手術後に戻す方法
- 回収式自己血輸血:手術中に出血した血液を回収・濃縮・洗浄して再利用する方法

この記事では、その中でも回収式自己血輸血について詳しく解説します。
この記事のポイント
- 回収式自己血輸血の仕組み
- 回収式自己血輸血のメリット
- 適応となる手術
- 安全性と注意点
回収式自己血輸血とは
回収式自己血輸血とは、手術中に出血した患者様自身の血液を回収・濃縮・洗浄し、必要に応じて体内へ戻す輸血方法です。
専用の自己血回収装置(セルセーバー)を使用することで、出血した血液から赤血球を効率よく回収し、不純物を除去したうえで再利用します。

そのため、大量出血が予想される手術では、同種血輸血を減らす方法の一つとして広く活用されています。
回収式自己血輸血の仕組み
通常、手術中に出血した血液は廃棄されます。
しかし、大量の出血が予想される手術では、出血した血液を専用装置で回収し、患者様自身へ再利用することがあります。
回収式自己血輸血では、専用装置によって次の工程が行われます。

回収・濃縮
手術部位から吸引した血液は、まずリザーバと呼ばれるタンクへ回収されます。
その後、一定量集まった血液を遠心分離ボウルへ送り、赤血球などの血球成分と血漿や洗浄液などの液体成分に分離します。
洗浄
分離された赤血球は、生理食塩水を用いて洗浄されます。
この工程では、赤血球に混入している不要な物質を除去し、より安全な血液として使用できるようになります。
主に除去されるものは次のとおりです。
- 手術で使用した薬剤
- 壊れた細胞の成分
- 炎症の原因となる物質
返血
洗浄された赤血球は清潔な輸血バッグへ回収されます。
その後、患者様の状態に応じて、手術中または手術後に輸血されます。
「濃縮・洗浄」による高品質な血液
回収式自己血輸血の大きな特徴は、出血した血液をそのまま体内へ戻さないことです。
専用装置では次の工程を自動で行います。
- 濃縮:赤血球など必要な成分を集める
- 洗浄:不要な物質を除去する
- 返血:清潔なバッグへ回収し輸血する
この工程により、赤血球濃度が高く、不純物の少ない「濃厚洗浄赤血球」が得られます。
回収式自己血輸血のメリット
- 患者様自身の血液を使用するため、同種血輸血に伴う免疫学的リスクを低減できる
- 貴重な血液製剤の使用量を減らせる
- 新鮮な赤血球を輸血できる
回収式自己血輸血の適応
回収式自己血輸血は、多くのメリットがある一方で、すべての手術に適応されるわけではありません。

対象となる手術
- 心臓血管外科手術(大量出血が予想される手術)
- 人工関節置換術などの整形外科手術
適応外となる手術
以下のようなケースでは、ガイドラインにおいて適応外とされています。
- 悪性腫瘍手術(腫瘍細胞が混入する可能性があるため)
- 細菌汚染の可能性がある手術(感染リスクがあるため)
安全性と医療体制
「機械で血液を扱うこと」に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、回収式自己血輸血は、専門的な知識と技術を持つ臨床工学技士などの医療スタッフが管理し、安全性に十分配慮して実施されています。
また、自己血回収装置には複数の安全機能やセンサーが搭載されており、適切な管理体制のもとで運用されています。
まとめ
回収式自己血輸血は、患者様自身の血液を回収・洗浄・濃縮して再利用する輸血方法です。
大量出血が予想される手術では、同種血輸血を減らし、新鮮な赤血球を有効活用できるというメリットがあります。
一方で、すべての手術に適応できるわけではなく、腫瘍細胞や細菌の混入リスクがある症例では使用できません。
適切な症例で使用することで、安全かつ有効な輸血療法として広く活用されています。
※本記事に掲載しているイラスト・図解の一部は、生成AIを活用して作成し、内容を確認・編集したうえで掲載しています。