手術で使用される鉗子、剪刀、持針器などの鋼製小物。一般的にはステンレス製のものが広く使用されていますが、中にはチタン製の手術器械もあります。
では、なぜ手術器械にチタンが使用されるのでしょうか。
今回は、鋼製小物に使用される素材としての「チタン」に注目し、その特徴をご紹介します。
チタン製手術器械の大きな特徴
軽さ
チタン製手術器械の特徴として、まず挙げられるのが軽量性です。
チタン製の手術器械は、ステンレス製と比較して約30~40%軽量とされており、長時間の手術や繰り返し器械を操作する場面では、術者の手への負担軽減につながります。
特に長尺の器械では、器械全体の重量だけではなく、その重量バランスも操作感に影響します。そのため、「必要な長さを確保しながら重量を抑える」という点で、軽量なチタンは手術器械に適した素材の一つといえます。

同じ長さの鑷子で比較した重さ(左:ステンレス製、右:チタン製)
非磁性
非磁性とは、物質が磁石に引き寄せられない性質のことです。
チタン製手術器械は磁気の影響を受けにくいため、磁気を避けたい環境や用途に適しています。例えば、一般的なステンレス製器械の中には磁気を帯びるものもあり、使用環境や条件によっては縫合針が器械に付着することがあります。そのため、針の受け渡しや操作の際に煩わしさを感じますが、チタン製器械は磁気の影響を受けにくいため、縫合針などの金属製品が器械に付着しにくいというメリットがあります。
鋼製小物というと、先端形状や長さ、把持力などに目が向きがちですが、「その器械がどのような材質で作られているか」も製品選択のポイントの一つです。
ステンレス製は磁石に引き寄せられる

チタン製は磁石に引き寄せられない
耐食性
耐食性とは、金属が水分や酸素、化学薬品の影響を受けて腐食や錆びを起こすのを抑える性質のことです。
手術器械は使用後に洗浄・滅菌を繰り返して使用されます。チタンは耐食性に優れた素材であり、手術器械として繰り返し使用するうえでも有用な性質を備えています。チタン表面には自然に酸化皮膜が形成され、この層が高い耐食性に寄与します。
まとめ
鋼製小物は、一見すると同じような形状であっても、材質によって異なる特徴を持っています。中でもチタン製品は、軽量性 × 非磁性 × 耐食性という、手術器械にとって魅力的な特性を併せ持つ素材といえます。
器械の形状や用途だけでなく、「どのような材質で作られているのか」にも注目することで、目的に合った製品選びの幅がさらに広がります。
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