酸素療法を学んでいると「COPD」という言葉をよく目にするのではないでしょうか。
酸素療法を安全かつ適切に行うためには、患者さんの病態を理解し、あらかじめリスクを把握しておくことが重要です。これにより、より適切な管理が可能になり、安全な治療に繋がります。
今回は、酸素療法と深く関わるCOPDについて学んでいきましょう。
COPDとは
COPD(慢性閉塞性肺疾患:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、主にタバコの煙などの有害物質を長期間吸入することにより発症する肺疾患です。
肺の空気の通り道が狭くなり、息切れ、せき、痰などの症状を引き起こします。COPDは徐々に悪化する病気であり、感染症などをきっかけに増悪を起こし、緊急治療や入院が必要となることもあります。
喫煙者のおよそ15~20%が発症するとされており、呼吸機能検査(スパイロメトリー)によって確定診断が行われます。
病態
COPD患者において換気量の低下や低酸素血症が生じる主な要因は、以下の3つです。
気流閉塞
気流閉塞とは、気道の狭窄や閉塞によって呼気がうまく吐き出せなくなる状態で、閉塞性換気障害を指します。
正常な末梢気道では、細気管支より末梢に軟骨がなく、周囲の肺胞の弾性収縮力によって気道内腔が保たれています。呼気時には肺胞の弾性収縮力により空気が外へ押し出されます。一方COPD患者では、気管支の炎症により、気道分泌物の貯留や気管支壁の肥厚が生じ、気道が狭くなります。さらに、肺胞壁の破壊によって肺胞腔が拡大(肺気腫)し、弾性収縮力が低下することで、末梢気道が虚脱しやすくなります。また、肺胞の弾性収縮力の低下により、呼気を押し出す力も弱くなります。これらの変化により、呼気が十分に行えず「息が吐きだしにくい」という症状が生じます。
動的肺過膨張
COPD患者では、気流閉塞の影響で、呼気を完全に吐ききるまでに時間がかかります。十分に呼気が行われないまま次の呼気が始まると、肺内に空気が残存し、呼吸を繰り返すごとに残気量が増加します。これにより肺が過膨張した状態となります。
特に労作時には酸素消費量の増加により呼吸数が増加し、1回の呼吸における呼気時間がさらに短縮されるため、過膨張が助長されます。これを動的過膨張といいます。
動的過膨張によって最大吸気量が減少し、空気を吸い込みにくくなることで、呼吸困難感が強まります。COPD患者では、低酸素血症がなくても労作時呼吸困難が生じやすくなります。
ガス交換障害(換気血流比不均等)
正常の状態では、肺胞内に取り込まれた酸素は拡散によって血管内へ移動し、ヘモグロビンと結合して全身へ運ばれます。しかし、COPD患者では、気道狭窄や肺胞壁の破壊により肺胞内への酸素の取り込みが不十分となります。さらに肺胞壁の破壊に伴い、酸素を受け入れる肺毛細血管床も減少します。その結果、血流があるが換気量が少ない、換気はあるが血流が少ないといった状態が生じることを換気血流比不均等といいます。
換気血流比不均等が生じるとガス交換効率が低下し、低酸素血症をきたします。さらに低酸素血症により、呼吸数の増加を招きます。
治療
COPD治療の目的は、息切れや咳などの症状の軽減、病気の進行抑制、増悪の予防です。
最も重要なのは禁煙であり、喫煙を続けると呼吸機能の低下が加速してしまいます。
薬物療法の中心は気管支拡張薬(抗コリン薬、β₂刺激薬)です。その他、去痰薬、テオフィリン製剤、感染が原因で増悪した場合には、抗菌薬が使用されます。
また、運動療法を含む呼吸リハビリテーションにより、筋力・持久力を維持し、生活の質(QOL)の向上が期待できます。
病状が進行した場合には、在宅酸素療法(HOT)や人工呼吸器管理が必要となることもあります。
口すぼめ呼吸が有効
COPD患者の呼吸困難軽減には口すぼめ呼吸が有効です、口すぼめ呼吸とは、呼気時に口をすぼめて、ゆっくりと時間をかけて息を吐く呼吸法です。吸気は気道内圧を高め、呼気時の気道閉塞を緩和します。
まとめ
COPDは酸素療法と深く関わる疾患であり、病態を理解することで安全な治療につながります。気流閉塞、動的肺過膨張、ガス交換障害といった特徴を理解し、適切な酸素投与と呼吸管理を行うことが重要です。
参考資料
一般社団法人日本呼吸器学会(HP)
みんなの呼吸器 Respica 2025 Vol.23 no.1
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